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生活の雑記帳

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『おぢいさんのランプ』新美南吉著

 小学校頃、教科書に載っていた『手袋を買いに』や『ごんぎつね』を読んで記憶に残っている人も多いだろう。その作者である新美南吉が生まれて今年はちょうど100年だそうだ。
 新美南吉は、1913年7月30日に愛知県知多郡半田町岩滑(ちたぐんはんだちょうやなべ:現半田市)に生まれた。学校の教員の経歴を持つ彼であるが、結核のために1943年3月22日に29歳の若さで亡くなった。
 彼の作品には、地元の名称などがそのまま使われていたりして、郷土と密着した作風に親しみがわく。今でこそ有名な、『手袋を買いに』や『ごんぎつね』であるが、これは彼が亡くなった後出版された童話作品である。それらの作品も心に残る素晴らしい作品だが、彼の生前に出版された唯一の童話集『おぢいさんのランプ』(1942年有光社)に所収されているタイトル作品『おぢいさんのランプ』が、個人的に好きな作品だ。ちなみに、有光社から出版された本は、絵がかの有名な棟方志功である。
 『おぢいさんのランプ』は、おじいさんが孫の東一に昔話をするスタイルの作品である。昔話の時代は日露戦争頃である。文明が田舎の村に入ってくる頃の話なのだが、昔話のラストがすごく印象に残る作品だ。時代と共に生きた巳之助の生き様がとても引き込まれる、新美南吉の秀逸作品であると思う。

※出版当初は『おぢいさんのランプ』だったので、「おじいさん」は「おぢいさん」とした。


   夢と未来 過去をも照らす ランプかな


新美南吉記念館HP
おじいさんのランプ』青空文庫
by ikkokukandesu | 2013-08-05 00:45 | 読み物

日常の戯れ言を徒然と・・・


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